
アメリカのワシントン州にある聖エドワード大学管理部の建物の壁には、大きなひび割れがある。このひび割れのお陰で、学長にとっては新入生に話をする時の良い材料になり、どの新入生の心にも消えない感銘を与える。
学長は、学生に、こう話すのである。「昔この建物が設計された時、建築家たちは何週間もかかって、建物が耐えなければならない重力や変形率を調査しました。調べ終わると彼等は、計算した数字を7倍することにしました。つまり、安全を保つために必要だと思われる強さより、7倍も頑丈に建てたのです。」
「工事が終わった時、建物は人々の賞賛を集めました。その構造は美しく、見るからに堅固なものでした。ところが、それから2年後に地震が起こり、ちょうど真ん中にひび割れができたのです。」
学長は、さらにことばを続けてこの大学の方針と目標を説明する。「我々の目的は諸君の人格を高め、人生の基礎を築く手助けをし、人生で直面する数々の誘惑や障害に打ち勝って正しい生活を送る強さを与えることにあります。それぞれの人生にはどんな障害があるか計り知れないからです。」
学長が指摘した地震の話は学生たちにはっきりと理解された。彼等の人生にも地震のようなものがあるかもしれないが、そんなときに必要な、しっかりとそれに耐える強さを学生生活を通じて身につけるべきなのである。
学生たちはこの最初の話を容易に忘れない。大学にいる間、壁のひび割れは彼らにこの話を思い出させるのである。