3年前、井口夫妻は家族で会社を設立した。主人が社長で奥さんが副社長、そして、9歳、7歳、6歳、4歳の4人の子供は役員会のメンバーである。
役員会は月に一度、社長の司会のもとに開かれる。9つの花子は書記、会計は7つの健吉で、会費を集める。出席者はそれぞれ、1歳につき1円の割で、年令にあった金額を払う。それから、その週の議事が討論されるのである。
会議では、子供の小遣い、家事労働の分担、その他、家に関することなどが討論される。子供の教育、テレビを見る時間、休暇などについても決定される。
何か決めなければならない時は、投票という方法がとられ、皆、1歳につき1票が与えられている。井口夫妻は35歳と32歳なので、合計93票になる。この2人が得票数を左右する。しかし、2人の投票は、通常子供たちの投票と一致する。
井口家族会社の設立と目的は、子供たちとの密接なつながりと子供たちに責任感をもたせるために、そして、家族が皆幸福な気持を持つのに役立ち、一人ひとりが良き市民となるための助けになることにある。
この会社は、家の中にある問題をすべて解決するわけではない。しかし、井口家の家族の絆を固くし、幸せを生み出した。そして、家族の幸せのためには、両親と同じように、子供にも貴任があるということを、子供たちにわからせるのに役立ったのである。