タンポポ

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 私はいつもタンポポに心ひかれ、尊敬さえ感じる。子供の頃、庭を荒らすと叱られることもなく、摘み取って遊べる花で、私たちはずっと、タンポポは子供の花だと考えていた。

 実際、大人は、タンポポを花と呼ぶことさえしなかった。それは、"雑草"であり、雑草は摘み取られた。私が育ったアイダホ州の山間にある村の家々には、芝生があり、生えてくるタンポポは、芝生をだいなしにすると思われていた。それで、どの家の子も、タンポポを取る仕事をさせられた。

 私たち子供は、タンポポが二度と生えて来ないように、根から取るようにと言いつけられ、その通りにした。それなのに何本掘り取っても、すぐにあたらしいのが出て来た。

 私がこの小さい植物に感心したのは、その意志の強さと忍耐力である。大人が褒めちぎる見事な花々は、咲くまでにいろいろな世話をしなければならない。しかし、タンポポは自分自身で育ち、人間が全滅させようとしても、なんとかして生き残る。

 先日、私が乗っている車を止めて窓から何気なく外を見た。すると前の車輪の近くに一群れのタンポポが生えていて、私にほほえみかけているようだった.木の根元のコンクリートに囲まれたごく狭い土地で、"子供の花"は生きる場所を見つけたのである。そして、タンポポはさわやかな黄色に輝いていた。

 タンポポはいつも私の子供時代を思い出させ、また、我慢強さの模範として私の心に焼き付けられた。