生まれ変わった

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 「あの人は生まれ変わったのだ」としか言いようのない経験をする人が、時々ある。もちろんそれは、その人の人生観を根本的に変えてしまうような事態にぶつかった時に起こるものである。

 この「生まれ変わり」の機会が最もよくみられるのが、長い闘病生活のあとだ。患者は、何ヶ月も寝たっきりで、食べさせてもらい、おふろに入れてもらい、何から何まで人手にたよらなければならなかった。しかし、良くなり始めると、自分の足で立ち、自分の手で働けるようになる。言うなれば、生命を得て、患者は生まれ変わったのである。

 心理的に言って、人が、恋に陥った時、同じような生まれ変わりの気持ちを味わうものである。ある若者にとって、一人の若い女性に会うまでは、生活は退屈でつまらないものであった。ところが恋をした瞬間すべてが変えられた。彼女が彼の人生に投げかけてくれた輝ける光は、彼の心の中で燃え、彼は新しい生命を得て、生まれ変わったのである。

 しかし、このような「生まれ変わり」を最も強く感じるのは、宗教においてである。信仰の光が初めて人を照らし始めると、生活の最も深い部分が変えられる。今まで物質的であったかもしれない人生観は、信仰の光のうちに精神的となり、身体だけしかないように生活していたのが、今では霊魂の生活へも注意を向けるようになる。

 人が初めて精神生活の美しさを発見した時、なんともいえない爽やかな気持ちを味わう。彼は病気の人が回復したかのように、また、若者が恋をしたかのように感じる。

 再び生まれ変わったのである。