ただ、次郎の出した速達は、彼女を結婚にふみきらせるための効果はありました。もちろん、次郎とではありません。彼女は、次郎の出した速達を毎日届けに来た郵便配達員と結婚したのです。次郎にとっては強いショックでした。次郎は「自分の方が彼女に多くのものを与えられただろうに」と思ったからです。
幸子の夫は、彼女に豪華なものを買うこともできず、出世を望む人ではありませんでしたが、二人はただ心と心がひきつけられるのを感じ、お互いの中に幸福を見つけたのです。愛はとてもデリケートなものです。本当の愛は自然に芽生え、自由に与えられ、相手の財産にではなく、その人自身にひかれるものなのです。