ラブレター

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 次郎は金持ちの息子で、望むものは何でも手に入りました。その彼が、今望んでいるのは、幸子の心です。彼は子供のころから幸子を知っていて、彼女を非常に愛し、結婚したいと考えていますが、彼女の気持ちはわかりません。そこで、手紙を書くことを思いつきました。何通目かで彼は愛を告白し、ついに結婚を申し込みました。


 彼はその手紙をいつも速達で送っていましたが、彼女からの返事は来ませんでした。簡単にあきらめる、そんな習慣が身についていない彼は、1ヶ月もの間毎日手紙を書き、そのすべてを速達で送ったのです。

 「彼女もいつかは・・」そう考えている彼に、遂に彼女から返事が来ました。彼がそこに見出したものは、返事が遅れたお詫びと、結婚の申し込みを断る言葉でした。

 ただ、次郎の出した速達は、彼女を結婚にふみきらせるための効果はありました。もちろん、次郎とではありません。彼女は、次郎の出した速達を毎日届けに来た郵便配達員と結婚したのです。次郎にとっては強いショックでした。次郎は「自分の方が彼女に多くのものを与えられただろうに」と思ったからです。

 幸子の夫は、彼女に豪華なものを買うこともできず、出世を望む人ではありませんでしたが、二人はただ心と心がひきつけられるのを感じ、お互いの中に幸福を見つけたのです。愛はとてもデリケートなものです。本当の愛は自然に芽生え、自由に与えられ、相手の財産にではなく、その人自身にひかれるものなのです。