彫刻、絵画、音楽なども、どこかの部分に欠陥があるとか、各部分の間に釣合いと調和がないとかによって、美しきが損なわれる。
人間の社会もまた、部分から成り立っている。つまり、それぞれの男女によってである。人間社会の完成も、それを形造(かたちづく)っている各個人の人格と、人々の間にあるつながりによって左右される。
従って、人格を高めることは、個人的な義務であるばかりでなく、社会全体のためにも、努力しなければならないことである。また、お互いの間にあるつながりは、単なる個人としての必要性や望み以上のものによって、作りあげられなければならない。つまり、社会全体の幸福を考えるべきなのである。
社会の平和と発展と幸福のためには、各個人がその人格を高めるために力を尽くし、親切と愛の精神をもって、互いに力を合わせるように努力することが、必要とされる。
人間社会は、音楽の美しい曲にたとえられる。音楽は、たくさんの数の音符からできていて、音符は、リズムを生み出すように組み合わされ、まとめられている。オーケストラが、ある曲の美しきを忠実に再現しょうとすれば、一つずつの音符をはっきりと演奏し、しかもすべての音符に互いに調和を保たせることが必要なのである。