「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。
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(月~土)毎日お話が変わります。

坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

私は、礼拝式の時に、必ずと言って良いほど前日に起きたエピソードを盛り込んだ話の導入をします。それは、出来事が神と親しくなるためのものとして捉えるヒントをも伝えるためです。
そしてそれは、どういったきっかけで意識するようになったかと思い出してみると、S先生の影響がとても大きいことに気づきました。
私が東京で修道会の神父を目指す神学生だった頃、関西のミッションスクール勤務だった方と出会いました。それが、S先生でした。
彼は社会科の歴史の先生で、勉強面でも熱心な方でした。また、当時よく教え子の結婚式に招かれていました。結婚式のあった日など、「今日はどうでしたか」と尋ねると、今日の子は在学中はおとなしくて、いろいろと面倒をみた子だ、などとその子の当時の様子を話し始めます。
とても話がうまく、あるとき「先生の話、礼拝のときの説教の参考にもなりますね。どうしたらそんなに興味深く話ができるようになるのですか」と尋ねました。すると「説教を意識して日常生活を送っていると、その一つ一つが、説教のために活きてくるから時間をかけて待ちなさい」というのです。
神の言葉を伝えるために、意識して日常生活を送る事の大切さを学びました。
先生はまた、「うちの校長、俺がどうも煩わしいらしい。話しに行っても聞いてくれない」と悩みを打ち明けながら、「俺も大人だし、状況は判っているつもりだから、聞き入れてくれとは言わない。でも聞いて欲しい」と、私の神父としての将来を思い描いて、そのようなアドバイスをくれました。
彼は癌で早く亡くなりましたが、あのときの出会いは、私を大きな世界へと招いてくれた気がします。