生前ハヤット神父が書いたお話「太陽のほほえみ」(英語と日本語)を、
2015年5月掲載分から2021年3月掲載分まで保存しています。どうぞご覧ください。

ハヤット神父
ハヤット神父

 

思いやり!

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 幸子はいつでもみんなに好かれていたし、友人たちは、彼女はとてもよい奥さんになるだろうと思っていた。彼女は大学時代に知り合った男性と結ばれ、東京での結婚式後は、三重県にある彼の故郷へ移って行った。彼女は、彼の家族と完全にとけあい、友だちもすぐにできた。

 しかし、幸子が嫁いでから1年後に、母親は泣きごとを書いた手紙を彼女から受けとった。それは幸子自身の問題についてではなく、ほかの人が彼女のところへ持ってくるいろんな問題についてである。その一部にはこう書いてあった。

 「ここでの生活はがまんできなくなりそうです。私の知っている人はだれでも、私にいろんな悩みを打ちあけます。お金のこと、近所の人のこと、子供のこと、夫のこと、恋人のこと、家族のこと、健康のことなどです」

 「みんな友だちや親類の人なので、気を悪くさせずに断ることはできません。できれば役にたちたいのですが、ほとんどの問題が私の力では解決できないことなのです」

 「いつも心配事は口に出さないようにしているのですが、今は耐えられないので、お母さんに話すことにしました。私には何もできないことを、なぜみんなは話すのでしょう」

 母親はすぐに、娘を慰める手紙を書いた。
「こういうふうに考えなさい。悩みを他人に話すたいていの人は、忠告を期待していません。ただ、自分の話を聞いてもらいたいのです。」

 「それほど大勢の人があなたに悩みを話すのなら、みんなはあなたを信用し、あなたが〝思いやり〞というとてもよい性質を持っているのを、知っているからでしょう。そういうことで他人のために尽くせるのは、本当に恵まれていると考えるべきではないでしょうか」