祈りの力を信じて

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 約50年前、ロサンゼルス・タイムスの有名な寄稿家ポール・コーテスが脳梗塞で倒れ、数日の間生命が危ぶまれたが、やがて回復に向かった。

 コーテスは退院後、彼がいろんなことができるようになったと喜ぶ妻を見ると嬉しかった。ところがある日、彼の身体的機能は回復してきているが、意志を伝える機能が回復しないことに気づいた。かろうじて話すことはできるが、書くことはできない。ものを書く人にとって、これほどみじめなことはない。コーテスは、特別な治療を受けるために入院する必要のあることがわかり、重い心で入院した。

 そんなある日、一つのできごとがあった。コーテスが沈んだ気持ちで娯楽室にいた時、だれかが肩に手をおいた。見上げると中年の婦人がほほえんでいる。

 「ご心配なさらないで...。あなたのために祈っています」と彼女は言った。彼女が離れてゆく時、コーテスは彼女が右足を引きずり、右手も力なくたれていることに気づいた。脳梗塞の患者であった。

 ポール・コーテスは厚い信仰を持っていたので、この婦人の祈りとその力を信じた。そして、悪い足を引きずって元気づけに来てくれた彼女の親切に感謝した。このことから、それまで注意を向けなかった一つのことに気づいた。そこの患者の精神である。みんな自分のことより、ほかの人の苦しみを思いやっている。その結果、入院中の患者にはさまざまな苦しみがあるにも拘らず、病院の雰囲気は陽気で活気に満ちていた。

 コーテスはこの精神を見習い、そして彼自身、再び回復の軌道に乗った。

 その後彼は仕事に戻り、新聞の記事を再び書き始めたということである。

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