明日はきっとよくなろう

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 ある雨の日一人の老人が、トラックにはねられ、病院に搬送されたが、まもなく病院で息をひきとった。検屍の後、立ち合った医者は、実に不思議そうに首をかしげた。というのは、老人の肺は、一面結核に冒されたあとがあり、胃にはひどい潰瘍ができていたからである。それだけではなく、心臓腎臓も、かなり弱っていた。
 医者は、未亡人にたずねた。「ご主人はおいくつでしたか?」「80才でした」「80才!こんなに体中のあちこちが悪いのに、よくここまで生きてこられましたね。普通より30年は長生きされたことになりますよ」と医者は言った。
 「夫はいつもお医者さん方をおどろかせていました」と未亡人は答えた。
「生まれつき体が弱い上に、いつも次から次へと病気にかかっていたのです。ある時などは、6カ月の命しかない...と言われたことさえあります。」
 更にこの未亡人は言葉を続けた。「夫は勇気があり自分の生命を愛していました。毎夜床につく前にひざまずいて祈りを唱え、私の方をふりかえっては、『明日はきっとよくなるよ』と言ったものでした。決して望みを捨てずに来たのです。それが夫を80才まで生きながらえさせたのだと思います」
 人の気持は、休の条件を大きく左右する。心に望みのある時は、身体も強い。老人はこの事をよく知っていたのだろう。「明日はきっとよくなろう」と老人が寝る前に言ったことを見習おう。この老人の気持ちを日々の生活に生かしてゆけば、どんなときにも生きる力がわいてくるのではないだろうか。