頂上を目指して

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 私はアメリカのアイダホ州の北部にある小さな町で生まれた。町は四方を高くそそり立つ山々に囲まれた谷あいにあり、子供のころ、夏になると、よく友だちと町の北側にある山で遊んでいた。

 私たちは成長し、背もどんどん高くなり足も大きくなっていった。そして夏が来るたびに少しずつ高い所へ登っていった。当時、山の頂上まで登って、反対側を見たいというのが私の夢であった。

 1931年の夏、私が9歳の時、友だちと2人で頂上だと思われる所まで登っていった。ところが、そこは頂上ではなく地面が単に平らになっている台地だったのである。この台地は約300メートルほど広がり、もう一つの更に高い山へと続いていた。町からこの山は見えないので、こんな高い山が奥にあるとは夢にも思わなかった。

 せっかく頂上だと思った2人にとってはショックだったが、それから後になってもそれをよく思い出し、ある意味でこの高い山は私の人生のシンボルだと思うようになった。

 人間は皆この地上での成功を目指して生きている。成功とはまず一つの目的を作り、それを目指して努力し、目的を達成した時に得られるものだと思われている。しかし、一つの目的を達成してもまたすぐに他の目的が待ちかまえている。

 ちょうど私たちが頂上だと思って到達したところ、そこは頂上ではなく、ただの台地だということに気がつき、別の 新しい山が私たちを待ち受けていたと同じようなものである。

 完全な成功はこの地上では決して得られるものではない。真の頂上はこの地上には存在しない。わたしたちが永遠の生命に入り、神と完全に一致した時に初めて真の頂上に到達できるのだと思う。