一度で充分

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 小さい頃、私はアイスクリームが大好物でしたが、家が貧しくそんなにたびたびアイスクリームを食べる機会はありませんでした。たまにあったとしても、家族一人ひとりが口にできるのはほんのわずかでした。それでいつも一度でいいから欲しいだけアイスクリームを食べられたらどんなに幸せかと思っていました。

 ある夏の暑い日、学校から遠足に行った時、思いがけず私の望みが叶えられたのです。その日、学校に遠足用としてアイスクリームが大量に寄付され、私たち生徒は好きなだけ食べてよいことになりました。ピクニックは湖のそばであったので、ボートにも乗れ、私と友人は欲しいだけのアイスクリームをボートにのせ、湖の真中へ漕ぎ出し、真ん中まで行くと私たちはアイスクリームを食べ始めました。

 最初の二つ三つは本当に美味しかったのですが、食べ続けていくうちにだんだんおかしな気分になってきたのです。そして、私たちはアイスクリームを見るのもいやになり、ボートを漕ぐ手を休め、ことばもなく、ただお互いにじっと見つめ合っていました。

 これは私のほんの子供の頃の話ですが、今も強く印象に残っています。それ以来、物質的な満足を追求することは用心深くなりました。

 人間の物質的な欲望は尽きることがありません。無限の存在だけが人間の欲望を満足させることができるのです。それは神樣なのです。