バラは、自分の都合のよい時に咲く。美しいバラの花を見るためには、咲く時期を待たねばならないのである。
旅行をする時、汽車の発車時間まで待つのは当然である。海などで泳ぐためには、夏が来るのを待たねばならない。
このように人生のよいことには、待つことがつまきとう。忍耐力がなければ、待つということが非常な苦痛や不満の原因になりうる。
2人の男の乗った船が、ある時、浅瀬に乗り上げた。彼らは船が動くようにあらゆることをやってみたが、何の役にも立たなかった。一人の男は、ひどくいらいらしてきた。しかし、彼の友人は、のんびりと座っていたのである。
「動けないのに、気にならないのかい?」と最初の男は聞いた。
「必要なのは、満ち潮を待つことだけだ。何かをして役に立つのはそれからだ」と友人は答えた。