生前ハヤット神父が書いたお話「太陽のほほえみ」(英語と日本語)を、
2015年5月掲載分から2021年3月掲載分まで保存しています。どうぞご覧ください。

ハヤット神父
ハヤット神父

 

新たな日かやって来る

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 人の一生の過程は、毎日の生活の中で繰り返されていると言える。

 朝起きるのは、もう一度生まれるようなものである。そして朝は、人の若いころと似ている。前の晩よく眠れば、頭もはっきりしていて、心の中では、新しい考えや新たな希望が躍動してしる。

 しかし、午前中はすぐに過ぎてしまう。日は天に高くなる。昼食をとるために仕事の手を休め、半日が過ぎたことに気づく。「時間はどこへ行ったのだ?わたしは何をしただろう?」と自分に尋ねる。午前中の仕事として予定していたもののうち、ごくわずかしかできていないことが、かなりよくある。

 午後の仕事に向かうとき、われわれの態度は幾分違う。朝よりもっと成長した、もっとおとな的な態度である。し終えなければならない事柄と、残りの時間が限られていることを知っている。午前中のような若々しい元気のよさはないだろうが、もっと強い決意とも言えるようなものを持っている。

 時計の針がまわり、時間がたつにつれて、緊張感が増すのを感じる。その日の仕事を片づけようと懸命に急ぐ。

 だがそのころには、だんだん疲れてくる。窓の外に目をやれば、日陰は長くのびている。やがて太陽は、地平線のかなたに沈む。空はだんだん暗くなり、街灯がともる。朝見たのとは全く別の世界である。われわれも朝には若さを感じたが、夜が来ると老人のようである。

 毎晩、われわれは、これから向かってゆく老年期の気分を味わう。休息と反省の時である。しかしまた、希望をよみがえらせる時でもある。夜が過ぎれば明日という日がやって来るからだ。新しい夜明けを迎える時、われわれは再び、はつらつと若く、生命力に満ちあふれているのである。