20代の頃、勤めの帰りに料理教室へ通っていた。花嫁修業などと言う言葉が生きていた時代で、若い女の子たちは1日の仕事の後で疲れていたが、すぐ仲良くなり、一緒に料理...
20代の頃、勤めの帰りに料理教室へ通っていた。花嫁修業などと言う言葉が生きていた時代で、若い女の子たちは1日の仕事の後で疲れていたが、すぐ仲良くなり、一緒に料理...
私は東京で生まれ、東京で育った。だが、故郷は東京なのかと考えると、いくらかの違和感を感じてしまう。東京という都会には、故郷という暖かい言葉がどうも合わないような...
カタバミという小さな多年草をご存知だろうと思う。10センチに満たない丈で、可憐な黄色い花とハート型の葉をつける。クローバーに似ているが、雑草なので、庭に生えたら...
私はクレソンというほろ苦い野菜が好きで、居間の隅にガラスケースを置いて栽培している。きれいな水に浸したスポンジに種を播き、小さな芽の成長を見守るのは楽しい。ほっ...
「コリントの信徒への第2の手紙」12章9節には、次のように記されている。「主は『わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ』と言わ...
電車の中で、すやすやと眠っている赤ちゃんを見た。母親の胸に抱かれ、安心して小さな瞼を閉じている。無垢な瞳が目覚め、世界に向かって開く瞬間はどんなだろう。その光の...
7月、子どもたちに夏休みが始まる。大人たちには休みはないけれど、一緒に過ごす時間が長くなって、親子の心が近づくのが、この時期の楽しいところだと思う。我が家の長女...
人間は誰でも失敗をすることがある。グラスを落として割ってしまったり、電車の中に傘を置き忘れたりする。些細な過失は、それほど責められることはないが、心得違いによる...
5月は聖母月。木々の若葉が目に鮮やかな季節、枝の陰で遅れて咲いた花にも陽が当たる。やっと開いた小さな花を、聖母が清らかな光の指で愛でているようだ。私たち人間も、...
新しいものには良い香りがある。おろしたてのシャツ、新鮮な野菜や茸。新学期に配られる教科書を開くと、良い香りがして、胸がワクワクしたことを思い出す。こんな気持にな...