私が目標にしているおばあさんがいる。 　ひとりは、五島の小さな島で暮らしていたおばあさん。その人のことは『ばんばのつぶやき』という本にまとめた。 　ひとり暮ら...

私の少女時代、五島福江教会の松下神父さまによくいわれたことは、「線の上に心を置くように。線とは、神さまと人間界との境界線。線の上に心を置く修養をしていると、線...

今年に入り、新型コロナウイルスの感染が世界中に広まり、死者も増え続け、すべての業種が自粛を求められ、世界全体が大不況に襲われる、そんな状況になってきた。 　知...

毎夕、食材の買い物に出かける途中、足を止め、見上げる小さな空間がある。 　１５戸ほどのワンルームマンションの２階の一室のベランダである。マンションの周囲や、他...

７３年生かされてきて、その時々で心に響く言葉は数多く聞いた。 　その中でも年を重ねるにつれて、私の心に深く深く入り込んでいった言葉は、父の言ったことである。 ...

私のふるさと五島列島は四方八方海に囲まれているので、夏休みの間、友だちと一緒に海辺へ行くのが日課であった。 　朝から行き、昼頃帰るのであったが、海へ行くとなぜ...

私には２組の両親がいる。 　実家、中尾の両親と、婚家、今井の両親である。 　実家の両親とは１８年間、今井の両親とはその倍の３３年間、一緒に暮らした。 　従って...

私は今年、７３歳。ふるさとの父は６４歳で帰天した。父の年を１０歳も超えてしまったのに、いまだに私は父のことを思い出すと、小さな童女に戻ってしまう。 　私が何か...

７３歳でゆかりの男性が旅立ち、夫とともに葬式に伺った。若い頃から酒に溺れ、妻子に多大な迷惑をかけた人であった。 　酒を飲まない時にはおだやかなやさしい人である...

死について私が一番最初に意識したのは８歳の時であった。 　母の従妹の子どものＴ君が10歳で脳腫瘍のため急死した。 　Ｔ君は頭が良く、運動能力もすぐれていた。 ...