五島で暮らしていた子供の頃の子守唄は、我が家に泊まっていたおじさん、おばさんの、歌うような陽気な声であった。 我家で御飯を食べ、飲み、歌にし、やがて眠りにつ...
五島で暮らしていた子供の頃の子守唄は、我が家に泊まっていたおじさん、おばさんの、歌うような陽気な声であった。 我家で御飯を食べ、飲み、歌にし、やがて眠りにつ...
今年の出発は能登地方での大地震から始まった。 前途多難な予感がして、すぐに手を合わせて祈った。 私の高校1年の秋に五島の福江大火が発生し、我家は全焼した。...
60年ほど前に、私が五島を旅立つ時、多くの人におせん別やはなむけの言葉をいただいた。 松下佐吉神父様には「その場になくてはならない人になれよ」。 梅木ツル...
「人間はさ、どげんな人間でん、眠っとるときには悪かことばせんとよ。じゃけん、どん人も眠っとる時の顔は安らかたいね」と父母は言っていた。 五島の我が家は千客万...
私の五島の生家は年中鍵をかけなかった。 福江島の中心地にあり、人通りの多い繁華街の一角にあったにもかかわらず・・・。 父母は「いつなんどき、うちん家ば頼っ...
50年余り前、父が召された時、母は悲しい中でも一抹の光を見つけたような表情で言った。 「父ちゃんがさ、終油の秘蹟ば授けてもらった時に、松下神父さまが『よく捧...
幼少の頃から聖家族の話は父母から、神父さまから、教え方さまから聞かされて成長した。 2千年前の人たちのことなのに、五島の大人たちの「語り」はとても現実的で、...
30数年前、五島の母が入院したので見舞いに帰った。 母はふたり部屋にいた。 同室のお婆さんはとても小柄で、ベッドに座って静かに祈りを捧げていた。 横から...
神さまはいつでもどこでも私たちの心に住まわれているのに、私たちは気付かずに過ごしていることが多い。あとから考えると、あっ、あの時、神さまが呼びかけてくださった...
30数年前、「心はみえるんよ」というノンフィクションを書き、刊行していただいた。 初老の全盲の女性マッサージ師の先生と知的障害を持つ年下女性との同居生活の記...