私がベンチに座っていると、隣の人がタバコを吸い始めました。やがてそのタバコの煙が私の方に流れていることに気付いた彼は、すぐ私に謝ってタバコの火を消しました。 ...
私がベンチに座っていると、隣の人がタバコを吸い始めました。やがてそのタバコの煙が私の方に流れていることに気付いた彼は、すぐ私に謝ってタバコの火を消しました。 ...
ある家庭での出来事です。男の子が走って帰ってきて、母親に向かって叫びました。「僕、これからバスに乗る時、切符を買うよ」母親は、子供がなぜ興奮しているのかわかり...
記憶に蘇る思い出の糸をたぐり寄せると、幼い頃から現在にいたるまでの数々が、まるで一枚の織物のように見えてきます。忘れえぬ今は亡きカナダ人のルイーズが私に残した...
小春ちゃんは、私が心から愛した小鳥です。中国のウグイスと言われるソウシチョウという小鳥で、いまは飼育も輸入も禁止されていますので、何羽ものソウシチョウを家族で...
実家近くにある土手の道を夕暮れに歩いてみると、子どもの頃、買い物かごを持った母に手を引かれて歩いた日のことを思い出す。 母はすでにこの世を去っているが、母にま...
昨年の9月下旬、雨上がりの風のない朝、桜並木の下を歩いていたら、どこからともなくいい匂いがしました。あの桜餅の香りです。そのいい匂いのもとは何か、犬のようにク...
私の故郷は北海道です。一年のうち、半年間は輝くように美しい雪景色を見て育ちました。真っ白な雪をかぶった赤いナナカマドの実と青い空はなつかしい風景です。それに、...
わたしの趣味は写真を撮ることだ。修道院に入ってしばらくのあいだ中断していた趣味だったが、あるきっかけから再びカメラを手に取るようになった。 福岡の修道院に住み...
うちの裏庭にあった栗の木。樫の木。銀杏の木。 なぜか小さい頃から「木」が好きでした。 中庭のまん中にあった大きな銀杏の木には、近所の子ども達が集まって、しっか...
私は、東京の武蔵野の端っこで育ちました。郊外の自然を思わせる、比較的豊かな自然環境でした。 春には近くの空き地にタンポポが咲き、近所には広大なキャベツ畑があっ...
幼い頃、早春のある晴れた朝、庭先で私の名を呼ぶ父の声を聞きました。急いで出てみると、父は地面にかがみこんで私を招いています。「ほうら、見てごらん。水仙が芽をだ...
子どもの頃、よくママゴト遊びをしました。春には菜の花やレンゲをお皿に盛り、秋には熟して落ちた柿の実を「寒天のお菓子」として食べました。友達とお寺の裏山で椎の実...
まわりの山の雪もほとんど消えて、大きな山の最後まで残る万年雪の形を見ながら、お百姓さん達は田植えを始めます。あの万年雪があの形になったら、田植えを始めてもいい...
琵琶湖・唐崎の湖岸を訪れる機会がありました。私が訪れた先はカトリックの修道院なのですが、その近くには有名な唐崎神社があります。平安時代、天皇をはじめ貴族たちが...
ある講演会の後で、主催者側が私に、大きな花束をくださいました。修道院に持ち帰るには大きすぎるなと思いながら、シスターたちの喜ぶ顔を思い浮かべて、持ち帰り、修道...
古来、日本人は、自然をこよなく愛し、稲作、鎮守の森などで自然に親しむ、あらゆる営みを続けてきました。その日本人が、突然、東日本大震災、福島原発事故で未曾有の大...