初夏の夜、水草の茂る川辺から蛍が無数に飛び立ちました。篭に一杯捕って座敷に吊った蚊帳にその蛍を放し。長年寝たきりの叔母を喜ばせたりしました。
還暦過ぎてアメリカに留学した時、アパートの広い芝生から蛍が舞い立つのを見て驚きました。日本の蛍とは別種ですが、青白い光を放ってゆっくり飛び交う蛍の天然ショーの魅惑は同じで、毎晩愉しみました。野生のリスや兎が庭に来たり、近くの池に鴨の一家が住んでいたり・・・、とにかくこの町の豊かな自然は、異国で一人勉強する私のストレスを癒やし、力づけてくれました。
来年傘寿を迎える私は今、近くの自然公園を歩くのが何より楽しみです。小さな里山は四季折々に色が変わり、池には鴨や白鷺が飛んできます。緑の広場が時には白い野草の花で輝きます。自然の移り変わりは地球の鼓動、神のいのちの現れ。私もその一員という感覚に浸れて幸せなひとときです。