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分かちあう

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 今なお争いが絶えない世界。

 教皇フランシスコは、ヨーロッパの保護聖人「十字架の聖テレサ・ベネディクタ」の記念日である8月9日に、彼女の取り次ぎによってウクライナに平和が来ますよう願い、祈りを捧げました。

 彼女は、カルメル会に入会する前はエディット・シュタインと呼ばれていました。エディットはカルメル会の手作りの小さな本、『馬ぶねと十字架』の中に次のような言葉を残しています。

 ー世界は火に包まれています。
 キリストと反キリストとの戦いは火ぶたを切りました。
 キリストに味方することは、あなたの命取りとなるかもしれませんー

 ケルンのカルメル会に42歳で入会したエディット・シュタイン

 入会から10年後の8月2日、オランダ・エヒトのカルメル会で、ナチスによって逮捕され、1週間後にアウシュヴィッツのガス室で殉教します。

 彼女はその時、幼子イエスと何を分かち合っていたのでしょう。

 それは、闇に輝く神の愛。クリスマス、幼子イエスの誕生。

 馬小屋で生まれた幼子イエスを最初に拝みにやってきたのは、夜通し羊の群れの番をしていた貧しい羊飼いたちでした。彼らは幼子イエスの中に何を見て、何を分かち合っていたのでしょう。

 幼子イエスは成長し、救いの業を示し、そして神のご計画通り、時の為政者たちに捕らわれ、神への愛と私たち人間への愛のために十字架にかかってくださいました。

 私もイエスへの愛のために命の限り、今の場所に居たい。朝、目覚めた時に命があったなら、神と隣人への愛ゆえにその一日を喜んで献げます。やがて私に訪れる命が尽きるその日まで、苦しむ青少年のために、イエスと分かち合いながら生きてゆきたいと思っているのです。