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心おだやかに

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 最近、本棚に眠っていた「禅」の本を開いてみました。すると、開いたページに「莫 妄想一大事(まく もうぞう いちだいじ)」という禅の言葉がありました。これは、仏教における「莫妄想」に「一大事」を組み合わせて、「あれこれ思い悩んだり、空想したりせず、今ここに心を集中し、今この瞬間の自分を大切に生きなさい」という禅の教えだそうです。

 私は、このことばに惹かれました。私たちは、日常生活の中で、心の平安を常に心がけ、保ちたいと思っています。だれでもが常に、おだやかにいたいと望んでいますが、実際、そうはうまく行きません。

 私たちの思いは、もう過ぎてしまった過去を振り返って後悔したり、まだ起きてもいない将来の事を心配したり、自らの思いが「今、ここ」から離れ、心のおだやかさを失なってしまいます。平穏でありたいと思いながら、心に不安、葛藤や罪悪感などがあると、落ち込んだり、いらだったりして、その思いや気持ちが人を傷つける行動を促してしまったりします。

 これは悪循環を生みだし、どうにかしないといけません。私にとって心をおだやかに保つのに、祈りは、かけがえのないものです。祈りは、心を「今」に集中させ、安らかな気持ちにしてくれるように思います。心のおだやかさを失ってしまうのは、凡人の常と言えると思いますが、目をつぶり、自分と向き合い、祈りを通して神と対話をすることにより心を平安にすることはできるのではないでしょうか。

 日々、心おだやかに、禅の教え「莫 妄想 一大事」を思い出しながら、今この瞬間の自分を大切に生きることができれば、こんな素晴らしい事は、ないと思います。