小春ちゃんは雌なので、雄のようにはさえずらず、チョイチョイチョイチョイ、と尻上がりの声で鳴きます。近くで聞くと複雑なフレーズをもつ笛のように聞こえ、遠くで聞くと小さな鈴を振っているように聞こえる不思議な声でした。フレーズは単純ですが、その表情は実に多彩で、雄のさえずりに勝るとも劣らない表現力をもっていました。
私の声によく反応して、名前を呼ぶと鳥籠の奥からチョンチョンと止まり木を渡ってこちらにやってきたり、手から好物の虫を食べたりしました。さみしがりやで、ほかの鳥の声が途絶えると「みんなー、いるよね!?」とばかりに呼びかけます。私がうっかり餌を籠の外に出しっぱなしにしたときには、泣き泣き謝ったら、その日のうちに赦してくれて、また仲良く付き合ってくれるようになりました。
いまでも、小春ちゃんは、ときどき私の心に戻ってきて、チョイチョイチョイチョイ、と鳴いてくれます。そのたびに、私は、神様はスズメだって大切にしてくださるという聖書の言葉を思い出します。
だからきっと、神様はどんなときも、私たちを見捨てたりはなさらない。私はそう、堅く信じていたいと思います。そして、そう強く祈り続けているのです。