アートフラワー、プリザーブドフラワー等、カタカナで表現され、自然に模したものが増えつつあります。たしかに、水をやる必要もなく、萎れることもなく便利です。病気の方へのお見舞に、便利で良いかもしれません。
でも、私はやはり、自然の花、草木に心をひかれるのです。なぜと問われて、「生きているから」としか答えようがありません。
生きているものは、いつか枯れることがあり、死ぬ時が来るという、冷厳な事実を忘れたくないのです。
そこから生じる、生きていることのすばらしさと、はかなさを身近に感じることが、私たちに、自然から多くを学ばせるのではないでしょうか。
山が工事のために削り取られ、田畑がつぶされて、コンクリートの建物に変わる世の中、自然に親しむ機会は、どんどん私たちの周囲から失われてゆきます。
小学生の時代、武蔵野を駆けまわっていた私にとって、自然は共存するものでした。それが今や、お金をかけて"親しむ"時代になっています。一番大切なこと。それは私たち人間も、自然の一部であるという謙虚さを失わないことだと思います。