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湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 私はいつの間にか卒寿を迎えた。
 昨年の9月、胃腸炎で強度の下痢になり、食べ物のコトを思うと吐き気がしてまともな食事ができなくなった。体重が10キロも痩せて体力も落ち、ちょっと家事をするだけで疲れて、ベッドで一休みして寝てばかりの生活を過ごしていた。

 気力が萎えて何もしたくなくなり、45年間毎月続けてきた、ラジオ番組「心のともしび」のエッセイ執筆をついに休んでしまった。

 そんな時、リハビリ施設の所長さんが家に来て言われた。
 「寝てばかりいてはダメですよ。安楽は毒です。」
 「毒!!」なんて嫌な言葉と思った。しかし、次の一瞬、はっと聖なる感覚で(ひらめ)いた。これは、神様がこの方を使って私に忠告して下さったのではないだろうか。

 そう思ったら素直な気持ちになり、それまで避けていた主治医の診察を受けて点滴治療が始まった。すると少しずつ舌に食べ物の味がもどり、少量ずつ喉を通るようになった。安楽の生活はいけないとベッドから起き上がり、止めていたリハビリを少しずつ始めた。私は「寝たきりの楽な道」から決別したのである。

 そして、11月28日、入浴介助の看護師さんと体重を計り、「2キロ増えている!」と抱き合って喜んだ。

 もしあの時のあの厳しい言葉を、〝神様の私への愛のお諭し〟と気づかずに聞き流していたら、私の今の回復の道は拓かれず、寝たきりの人になっていたかもしれない...。そう思うと、所長さんと神様に、感謝の気持ちが湧き上がってきた。
 そして、いつも素直な気持ちで人の言葉に耳を傾けなければならないと思った。

 共にいて下さるイエス様のお導きを聴き逃さず、心の拠り所である信仰の道をしっかり踏みしめたい...と改めて強く思った。