息子がなにかの理由で目に涙をためて、走ってきたことがありました。慰めようと伸ばした幾つもの腕をすり抜けて、私の腕の中に飛び込んできたのです。そんな懐かしい日々...
息子がなにかの理由で目に涙をためて、走ってきたことがありました。慰めようと伸ばした幾つもの腕をすり抜けて、私の腕の中に飛び込んできたのです。そんな懐かしい日々...
我が家の前には小さな公園があり、若いお母さまと子供たちがよく遊びに来ます。 先日、私は宅配された食材をせっせと玄関に運んでいました。すると頭上から、突然「チ...
近頃、母親の愛情といったものを、ひしひしと感じるようになりました。すでに母は他界しておりますので、まさに今さら、です。 何で今頃? どうも、それは妻が子ど...
昨年暮れに父が帰天しました。半年の闘病生活でした。 近くに妹夫婦がいたので、普段からよくお世話をしてもらっていましたが、病床についてからは他の兄弟たちもでき...
両親を早く亡くした私が、父母の心を語ることなど、絶対にできないと長い間、思っていました。 けれども、ある素晴らしい親御さんに出会い、親交を深めているうちに、...
私はいま84歳になりますが、両親のことでも今頃になって気がつくことがいろいろあります。 私は6人兄弟の長女でしたから、いつも何かしら言いつけられて、手伝いば...
通りすがりの小さな和菓子屋さんの前でふと足が止まった。 「名物どら焼き」と書かれた貼り紙の美しい筆文字にそそられたからか、それとも老舗のような店構えの懐かし...
「霞(かすみ)立つ ながき春日(はるひ)を子供らと 手まりつきつつ今日もくらしつ」――良寛(りょうかん) さんの歌です。良寛さんは、日が暮れるのも忘れて、子供...
ほほえみについて考えると、実際に見てはいないのですが、一つの場面が鮮やかに思いうかびます。 昭和23年10月、長崎市の如己堂(にょこどう)での出来事です。 ...