

中世ヨーロッパでよく描かれていた「全能者キリスト」のタイトルがついた絵画には、少々いかめしいイエスさまのお顔が描かれています。ところがはたして、イエスさまは本当にいつも苦虫を噛み潰したようなお顔をされていたのでしょうか?
私は違うのではないか、と思います。
イエスさまはいつも神さまに向かって「父よ」と呼びかけられていましたが、この呼びかけは、小さな子どもがお父さんに向かって呼びかける親愛の情がこもった呼びかけでした。イエスさまが祈る時、「父よ」と呼びかけられる時は、おだやかなほほえみに満ちたお顔だったのではないか、と思うからです。
また、イエスさまは、多くの人々をおそばに招かれました。時には、貧しい人、病気の人、障がいを持っている人、コンプレックスを抱えている人、また社会から「
そのご生涯を通して「互いに愛し合いなさい」と人々に教えられたイエス様ご自身が、出会う人たちとほほえみを交わし合い、お互いを本当に大切にしながら関わって、自ら模範を示されていた、と私は思うのです。
目には見えませんが、今日も、私たち一人一人にイエスさまがほほえみかけてくださっているのだと思います。たとえ私たちが悲しみの底にいたとしても、イエスさまのほほえみは注がれ続けているのです。