母の心・父の心

崔 友本枝

　我が家の前には小さな公園があり、若いお母さまと子供たちがよく遊びに来ます。

　先日、私は宅配された食材をせっせと玄関に運んでいました。すると頭上から、突然「チェー先生？」と声がしました。びっくりして顔を上げると、もう２０年以上も前に教えた生徒でした。すっかり大人びていましたが、私の目には、のけぞって大笑いしていた中学生の彼女の顔がパッと思い浮かびました。小さな男の子を連れています。

　私が玄関を出入りするたびにドアベルがチリン、チリンと鳴ったのでしょう。坊やが何の音かと聞くので不思議に思い、公園の入り口に二人で行ってみたそうです。すると目の前の家から私が出たり入ったりしていたというわけでした。

　お互いに本当に驚きました。

　宅配の食材はせいぜい４箱で、１０分もすれば片付け終わります。その数分間の出来事なのです。私は久しぶりに娘に会った親のような気持ちになり、嬉しくてたまりませんでした。かわいい、神さまのプレゼントです。これを逃す手はありません。

　さっそく家に招いて熱いコーヒーと果物のゼリーを出すと大好きなお菓子だといって大喜びしています。結婚して幸福に暮らしている様子です。坊やのしぐさを見たり、近況を聞いたりして、楽しいひと時を過ごしました。

　こんな素晴らしい出会いは神さまにしかセッティングできないでしょう。神さまは私たちの天のお父さんです。私たちが必要としているものをご存じで、いつも暖かく励ましてくださいます。