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豊かさ

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

 人生振り返ると、今まで、数えきれないほどの人との出会いや思い出があります。
 その中でも、心に深く残っているものは、出会った人々が私を温かい気持ちで受け入れ、接してくれた時のものです。

 私は、70年ほど前スペインに留学していました。今でも忘れませんが、寒いクリスマスの日に一人で過ごすのかと心細く思っていた時、教会で出会った神学生のリカルドさんが、うちに来ないかと誘ってくれました。
 喜んだ私は、小さなお菓子屋さんで買ったクッキーを持って、彼の家に行ったことを覚えています。

 リカルドさんのご両親はとても優しい方で、小さなアパートに住んでいました。今思えば、質素な生活と言えるかもしれませんが、私を家族のように歓迎してくださり、素晴らしい時間を与えてくださいました。

 食事の前に、みんなで祈った時「日本から来た新しい家族、洋とクリスマスを過ごせることに神に感謝」と言ってくださったことは、今でも鮮明に覚えています。これは本当に心豊かな思いからの言葉でした。

 現代社会では、「豊かさ」を、お金や所有物など外的な物の量で測りがちですが、本当の豊かさとは、目に見えない内面的なところにあるとつくづく感じます。

 マザーテレサは、「人にものを与える時、どれだけ与えるかではなくどれだけ愛を込めて与えるかが大切です」と言っています。

 その通りで、「愛」こそ「豊かさ」に一番大切なものです。愛は、私たち、一人ひとりが心の中で生み出し、他者の心に届くものです。

 どのような場面であっても、素直にありのままの温かい気持ちで人と接することで、心の豊かさ、愛は、初めて他者の心に届くのではないでしょうか。このように信じて疑わない私であります。