平和を考える

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 「平和」について考えるとマザーテレサの言葉を思い出します。「人工妊娠中絶は、平和の敵です。母親が自分の子を殺せるなら、他人同士が殺しあうのをどうやって防ぐことができるでしょうか」。鋭く、妥協を許さない言葉です。

 もちろんマザーは、わが子を中絶してしまった女性を非難しているのではありません。お腹の赤ちゃんには生きる権利がある、母親は命をはぐくむ大切な任務がある、一人の人を殺めることは、人類全体に大きな傷を与えるとおっしゃったのです。

 人の命は本当に不思議です。どれほど素晴らしく造られていることか。それは命の発生の瞬間からもわかります。近年、受精卵の一部の細胞は、皮膚にも内臓にもなる多くの可能性をもつ細胞だとわかりました。けれども受精卵には、どの部分が何になるのかというプログラムがすでに組み込まれています。出来上がっているプログラムに従って、細胞は猛烈な勢いで分裂します。最初は二つに分裂しますが、そこで人の背中と腹が決まります。あらゆる可能性を持つ細胞が、迷うことなく、あるものは骨に、あるものは内臓になる。まるで楽譜があり、指揮者がいて、多くの楽器をまとめ、完成された曲を奏でているかのようです。

 このことは、一人の人が、どういう人になるのかという「全体像をあらかじめ把握している存在がいることを物語っています。聖書には「胎児であった私をあなたの目は見ておられた」とあります。(詩編139・16)

 人は、生れる以前から、神に知られ愛されている。だから決して殺してはいけないのです。

平和を考える

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 私が最初に得た仕事は、英語のニュースを日本語に翻訳するというものです。この仕事はエッセイを執筆している現在も続けていて、かれこれ20年になります。その仕事のなかで、戦争に触れない日はほとんどありません。我が日本からも、一歩海を越えれば核兵器やミサイルをもつ国が控えています。日本は平和だと言う人がいますが、私はむしろ、ここでいま、たまたま戦争が起きていないだけのこととしか思えないのです。残念なことですが、平和は、いい子にしていれば天から降ってくるご褒美ではないのです。それは信念をもって獲得し、維持しなければ保てないものだと、私は毎日痛感しながら翻訳にあたっているのです。

 では、日本の国民として平和を実現するために、どうすれば良いでしょう。

 答えは無数にあるでしょうが、私が心がけているのは、敏感に情報をキャッチするアンテナと、自分の考えで判断する思考力を日ごろから鍛えておくことです。想定外の事態が起きたとき、鍛えられた判断力はきっと役立つと思うのです。入ってきた情報が真実なのか、うわさなのかといった的確な分析もできるでしょう。とにかく、あらゆる方向にアンテナを向けることだと思っています。「誰々さんが言っているから間違いない」とか「この人たちの言うことを聞いていれば安全でしょう」といった甘い判断では、平和は獲得できないと私は考えているのです。

 カトリックの立場からは、平和を祈り、イエスの言葉を何度でも聞くことだと私は思います。祈りはいつか人を動かすでしょう。そして平和を説いたイエスの言葉のなかには、きっと世界平和へのヒントがあるでしょう。

 いまこそ、力を合わせて平和を獲得していきましょう。


1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11