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平和を考える

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 私が最初に得た仕事は、英語のニュースを日本語に翻訳するというものです。この仕事はエッセイを執筆している現在も続けていて、かれこれ20年になります。その仕事のなかで、戦争に触れない日はほとんどありません。我が日本からも、一歩海を越えれば核兵器やミサイルをもつ国が控えています。日本は平和だと言う人がいますが、私はむしろ、ここでいま、たまたま戦争が起きていないだけのこととしか思えないのです。残念なことですが、平和は、いい子にしていれば天から降ってくるご褒美ではないのです。それは信念をもって獲得し、維持しなければ保てないものだと、私は毎日痛感しながら翻訳にあたっているのです。

 では、日本の国民として平和を実現するために、どうすれば良いでしょう。

 答えは無数にあるでしょうが、私が心がけているのは、敏感に情報をキャッチするアンテナと、自分の考えで判断する思考力を日ごろから鍛えておくことです。想定外の事態が起きたとき、鍛えられた判断力はきっと役立つと思うのです。入ってきた情報が真実なのか、うわさなのかといった的確な分析もできるでしょう。とにかく、あらゆる方向にアンテナを向けることだと思っています。「誰々さんが言っているから間違いない」とか「この人たちの言うことを聞いていれば安全でしょう」といった甘い判断では、平和は獲得できないと私は考えているのです。

 カトリックの立場からは、平和を祈り、イエスの言葉を何度でも聞くことだと私は思います。祈りはいつか人を動かすでしょう。そして平和を説いたイエスの言葉のなかには、きっと世界平和へのヒントがあるでしょう。

 いまこそ、力を合わせて平和を獲得していきましょう。