わたしの支え

遠藤 政樹

今日の心の糧イメージ

 今、世界中で自然災害や民族紛争のために多くの人々がふるさとを追われ、また、一番の心の支えである家族との絆が崩壊する事件が相次ぎ、心を痛めています。

 私はそんな時、誰からも慕われている曲、「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川・・」でおなじみの「ふるさと」の歌を思い出します。特にこの曲を指揮しながら、合唱団と会場の皆さんの心が一体となる時、心から幸せを感じます。

 私にとって人々と信頼を共に分かち合うことができる音楽は、大きな支えとなっています。

 音楽との最初の出会いは、少年期に買ってもらった、母の愛情がいっぱい詰まった「オルガン」でした。次第に音楽が好きになり、ちょうど、オルガンを買ってもらった時、唱歌「ふるさと」は、希望に夢膨らむ小学6年生の必修教材になりました。毎日弾いていたこの曲は、私が音楽へすすむきっかけとなり、後に指揮者の道へと歩む原点になったのでした。

 新潟という自然に恵まれた地で育った私は、山で兎を追ったり、山菜を採ったり、魚釣りなどを楽しんでいましたが、没頭しすぎ、母によく叱られました。しかし、家族や近所の人々がいつもあたたかく見守ってくれ、今は懐かしい思い出です。

 イエス・キリストへの信仰、大好きなキリスト教の音楽、また、たくさんの愛で私を支え育ててくれた母、そして、唱歌「ふるさと」は、天国にいる今は亡き母と地上を結ぶ歌であり、また、祈りでもあり、そして、私の家族と・・・今は、すべてが素晴らしいハーモニーとなって、私を支えてくれています。

 人と人とが支え合い、美しい音楽と愛のハーモニーで、世界中のすべての人々の心が満たされますように。

わたしの支え

小林 陽子

今日の心の糧イメージ

 週に1度、Kさんのお宅に通っています。

 彼女はこの数年、自宅のベッドの上でだけ、生活しておられる方です。

 はじめてお会いしたのは、ある聖書の勉強会でしたが、その頃はまだ杖をつきながらもご自分で歩いていらっしゃいました。

 親しくお喋りするうちに、10代の頃はすぐ近くに住んでいたことがわかったり、読んでいた本、好きな作家も同じで、考え、感じる心がふたりでひとつ、というくらい、出会いの不思議さに感激したことです。

 やがてKさんは勉強会をお休みすることが多くなり、膠原病が悪化して入院なさいました。その後退院されたものの病状は思わしくなく、ほとんど寝たきりの状態になられました。

 週1度お訪ねするようになったのは、私がインドのアシュラムで倣い覚えたマッサージのセッションを試みたのがきっかけでした。

 毎週、この日を心待ちにしてくださるKさんの、いつも明るく、幸せいっぱいというような笑顔に迎えられて、しばらくくつろいでティータイム。

 ベッドに向き合う窓からは、雑木林の木立の緑を通して光が差し込み、彼女は言います。

 「これが私にとって自然のすべてなの。朝は小鳥たちが何十羽、いえ何千羽とさえずって目を覚まさせてくれるのよ」

 この1週間の出来事、読んだ本のことなど、Kさんのていねいな新聞の切り抜きを前に話題はつきません。

 彼女のベッドは宇宙船かもしれません。ベッドの上から静かに世界を、地球を眺め渡して自由自在です。その祈りに支えられた深い人間洞察、鋭い社会時評、ときに目からウロコです。

 かたや日常生活のすったもんだを抱えて、世間を運んでゆく私とどんなにささいな事でも、しっかり受けとめて味わってくれるKさん。支えているのはどちら?


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