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わたしの支え

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 かつてわたしの支えだったものは、若さに伴う行動力と、自分自身の可能性を信じること、そして、必ずうまくいく、という根拠のない思い込みだけだったように思います。

 ところが、日に日に行動力がなくなり、自分自身が信じられなくなり、失敗や自分の思い通りにいかない経験を重ねるにつれ、このようなわたしの支えは揺らぎ始めました。

 その結果、何をするにも億劫になり、新しい出来事や新しい出会いを避け、引っ込み思案になってしまったかのようです。信じて希望を持つことさえも希薄になってしまってきています。これから何を支えにしていけばよいのか分からなくなってしまっています。

 しかしながら、聖書によると、十字架上での死が避けられない、と自覚したイエスは、ゲツセマネの園で次のように祈られたと書かれています。「アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われますように。」(マルコ14・36)

 イエスは、自分の願いではなく、神さまの御心が行われるようにと祈り、すすんで十字架の苦しみを受けられました。そして、その生涯の最後まで神さまへの信頼を失いませんでした。その結果、復活という出来事が起こったのでした。

 何もかも自分の思い通りにいかない時、その時人間は、ただ神さまの御心を受け入れるしかないのかもしれません。また、これこそが、真の私の支えになっていくのかもしれません。

 このようなイエスの姿に倣って生きること、これが本当のわたしの支えになっていくのでしょう。また、ここに、本当の信頼と希望を見いだすこともできるのだと私は思います。