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わたしの支え

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 どんなに立派で強く見える人にも必ず弱さがあります。それは残念なことではなく、弱さゆえに他者を必要とし、愛しあえるのですから、人にとって大切な要素だと思います。神さまは、他の人を必要としないほど完璧な人間を一人もお造りになりませんでした。ですから、私たちをわざわざそのようにお造りになったと言っていいでしょう。

 私には優しい夫が与えられましたが、素晴らしいといつも感じるのは、彼が人の気持ちを深く感じ取り、共感できるところです。

 あるとき、スーパーの店員がまだ慣れておらず、夫の買った食品を2回レジに打ったので、価格が2倍になってしまいました。夫は気が付きましたが、彼女が叱られないように何も言いませんでした。「どうして言わなかったの?」と後で聞くと、「あのスーパーはしょっちゅうアルバイトさんが代わるからね、きっと厳しい人がいて、新人は辛い目にあってるんだよ」と言うのです。

 また、別の時期のことですが、私が職場で中堅になり、仕事が急に増えると、ミスが重なりました。最近はよく注意を受けるので恥ずかしいと夫に話すと「君が叱られている時、僕もすぐそばにいるよ」と優しく言ってくれました。それはもう10年以上も前のことです。彼は忘れていると思いますが、私はこの言葉を思い出すと今も胸が温かくなるのです。

 私の命も人生も、すべて神さまから与えられたものです。朝が来て夜が来ることも、仕事や友人が与えられていることも、健康も、何もかもすべて神さまが支えてくださっています。その上、神さまの愛は夫の言葉や忍耐強い態度に現れているので、目で見ることもできます。弱点の多い私は夫に支えられ、許されて生きているのです。