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待ち望む

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 今の時代に何を待ち望むかと尋ねられたら、私は真っ先に世界の平和と答えます。むろん現代にもさまざまな問題があることは存じております。それには優先順位があるでしょうが、戦争、争い、殺戮などは最悪だと思います。ですから、私は平和と申し上げたのです。そして、平和と言葉でいうのは簡単で、それはまず一人ひとりの心に宿ってはじめて実現されるものだということも分かります。

 「心の平和」といっても簡単なことではないでしょう。それで神さまは、平和の君である主イエスを聖母マリアから誕生させられました。

 これがクリスマスです。

 私は、50歳のとき、在外研究として世界を一周したことがあり、8月の下旬、エルサレムに暫く滞在していました。

 そのとき、日本から巡礼でエルサレムに来られた修道女たちに出会い、一緒にベツレヘムに行き、そこでミサを捧げました。

 そのときに、ルカ福音書に記されている救い主イエスの誕生を告げる天使たちの出現の箇所が読まれました。「わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった」と。(ルカ2・10)

 そして、天使たちの大群が「いと高き所には天には栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」と神を賛美しました。(ルカ2・14)これは、物語ではなく、事実です。

 私はこのべツレヘムが大好きで、3回イスラエルに旅行しましたが、必ずそこを訪ねました。感動だけでなく、深く慰められました。

世界中の人びとがクリスマスを愛するのは、ただ単にイエス・キリストの降誕を祝うというだけでなく、それによって世界に平和がもたらされるようにと願っているからではないでしょうか。