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旅路

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

 私私たち人間は、生まれて来て、召されるまで、天国へ向かって旅をしていると、私は子供の頃に教わった。

 三ツ子の魂百まで、私はもうおばあちゃんになってしまったものの、当時の「教会学校」で習ったこのことは、昨日のことのように覚えている。

 公共要理で「人がこの世にいるのは何のためでありますか、人がこの世にいるのは、天主を認め、愛し、これにつかえ、ついに天国の幸福を得るためにあります」と、とても簡潔な日本語で人間の生きる目的を教えてくれている。

 このことを胸にたたんで日々を生きたなら、天国への旅路はまっすぐ続くだろう。
 と、書くと簡単なようであるが、実は天国への旅路はとても遠い旅路である。

 聖書には「ラクダが針の穴を通るくらいむずかしい」と書いてある。(参 マタイ19・23~24)

 このことだけを考えると、とてもではないが天国へ近づくことすらむずかしい。

 しかし、私が幼い頃 可愛がっていただいた松下佐吉神父さまは「心のたんれん」を教えてくださった。

 「心は地球を包めるくらい大きい。そしてジェット機よりも光よりも心は速い。一瞬で神さまの元にたどりつけるし、天国にもたどりつけるじゃけん、黙想ばするたんれんばせんばよ」

 つまり、「心の旅」を日頃からするようにと口すっぱく教えられた。

 そして、旅の途上で困った人を見かけたら必ず手をさしのべるようにとも言われた。

 我家は豊かではなかったけれど、マタイ伝25章のような暮らし方を続けるのは、人生は旅の途上であるということを私たち子どもに伝えたかったのだろうと思う。