▲をクリックすると音声で聞こえます。

心おだやかに

中島 貴幸

今日の心の糧イメージ

 「今回のテーマにある、「穏やか」って、どんな意味があるのだろう。ふと疑問に思い、さっそく調べてみました。
 「平穏」の「穏」という字の成り立ちはなかなか興味深いものです。右側は「急ぐ」を意味し、心の焦りを表す一方、左側の「禾」(のぎ)は穀物が実り、穂を垂れる姿から「おだやか」、「安定」のイメージを持つと言います。「急ぐ」の「急」は「禾」と結びつくことで「やわらぐ・鎮まる」の意味に転じたそうです。
 この対照的な要素が組み合わさった「穏」という字は、外的な動きや焦りの中にも、成熟した稲穂のように落ち着き、静かな安らぎを保つ姿を表しているということです。

 私たちの生活は、しばしば不安や焦燥に満ちています。予定通りに進まない仕事、人間関係のすれ違い、将来への漠然とした心配......。日常生活において、心の穏やかさを保つことは容易ではありません。

 しかし、信仰の視点に立つとき、ここに一つの慰めと確信が与えられます。それは、不安や心配の中にも、キリストが常に私たちと共にいてくださることで、心に穏やかさがもたらされるということです。

 イエスは弟子たちに、「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない」(ヨハネ14・27)と語られました。
 この平和は、困難や試練を取り去ることではなく、むしろそのただ中でも、心の平和が与えられると教えているのでしょう。苦しみや不安は消えないかもしれません。しかし、イエスと共に歩むとき、内なる平安を保つ力が与えられることでしょう。

 イエスと共に生きること、それが心穏やかに生きることだと思います 。