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教皇フランシスコ

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 私は、大学時代にバチカンを訪れたときにヨハネ・パウロ二世から祝福を受けました。そして前教皇フランシスコの来日を記者として取材したときにも、祝福をいただきました。

 お二人は、イエスが発しておられたと私が感じる一種の波動をお持ちだと思いました。ヨハネ・パウロ二世は神々しく揺るがないイエスの一面を、フランシスコ様は小さきものにどこまでも優しく、温かかったイエスの一面を私に感じさせてくださいました。

 こんな経験を経て、気付いたら、私は職場のニュース翻訳チームでバチカン担当のようになっていました。特にフランシスコ様については、即位から帰天までのニュースを随時配信できたとともに、来日のときは私自身が記事を書く機会をいただきました。そのためフランシスコ様は特に身近で、番記者のようにずっとお傍で様子を見せていただいていた気持ちなのです。

 私は、フランシスコ様が最後に身をもって示してくださったメッセージがあったと思っています。
 それは「一致を心がけなさい」というものでした。

 時には対立を厭わず改革を進められた方ですが、その先には常に、一致というゴールが見えていた気がします。政治的に対立していたアメリカの副大統領をして「偉大なキリスト教の司牧者」と言わしめたことに、その信念が集約されていたように思うのです。

 東方教会や他宗教とどんどん対話し、カトリック教徒の少ない地域を積極的に訪れられたその姿勢は、伝導するイエスに重なると思えました。

 私が二人の教皇の祝福から感じた波動の違いは、時代の変化を映すものでもあったでしょう。貴重な経験を踏まえ、フランシスコ様のラストレッスンを静かに受け止めたいと思います。