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正しさと優しさ

シスター 谷口 恵美

今日の心の糧イメージ

 子どもたちが大好きなアンパンマン。

 私がずっと前に保育園や幼稚園で働いていた頃、何度子どもたちに「アンパンマンの絵を描いて!」と言われたことでしょう。丸い顔は、フワフワ、ニコニコしていて、子どもたちにとって、やさしく親しみのあるヒーローなのだと思います。

 そんなやさしいヒーローを生み出したやなせたかしさんは、絵本「アンパンマン」のあとがきにこのように書いておられます。

 「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。そしてそういう捨身、献身の心なくしては正義は行えません・・・。」

 絵本の中で、「ぼくは、アンパンマンだ。いつも おなかのすいたひとをたすけるのだ。」と言って、今にも死にそうな旅人に、自分の顔を食べさせます。その優しさから苦しんでいる人に自分自身を差し出すのです。アンパンマンにとってそれが正義なのです。正義は優しさ、献身の表れでもあるようです。

 私の大好きなイエス様も、貧しい人や立場の弱い人のために、優しさと正しさをもって生きられました。

 アンパンマンは自分の顔を食べさせておなかのすいた人の餓えを満たしてあげます。イエス様もご自身をパンの形でお与えになり、人々に生きる希望とご自身の命を与えてくださっています。

 絵本の中で、旅人のもとにアンパンマンが飛んでくる場面があります。その姿の背景に、大きな白いまるが描かれています。私の目には、それはまるでミサの中で捧げられるパン(ご聖体)のように見えます。

アンパンマンの絵本を読むたびに、そこにイエス様の姿が見えてくる私なのです。