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正しさと優しさ

西田 仁

今日の心の糧イメージ

 4人の子供の親になると、子供それぞれに個性があって面白い。一番上の子はとにかく真面目で融通が効かない。曲がったことが嫌いで、許せない。それに比べ、下の子は要領がよく、悪い事をしてもすぐに謝る。結果、悪い事をしているにもかかわらず、大人から可愛がられ、愛される。

 子供達のこのような違いを見ていると、ルカによる福音の「放蕩息子の例え話」(参 15・11~32)を思い出す。正直、自分が親になるまで、私にはこの放蕩息子の例え話は理解出来なかった。神は兄のように正しく生きることより、弟のように放蕩息子として生きることを薦めているのだろうかと疑問に思った。しかし、現実に我が子を見た時に悪さばかりする末っ子は可愛くて仕方がない。決して、上の子が可愛くないわけではなく、皆同等に可愛い。

 そう考えると、聖書の中でも決して兄が正しく生きた事を(とが)めているわけでは無い。私なりに、この例え話を今読み返すと、弟が謝罪して帰ってきたということがとても大切なのではないかと思う。もし、謝罪の心を持たず、気の良い父親からさらに財産を騙し取ろうと帰って来たなら、決して受け入れなかったのでは無いか。我が子を見ても同様で、下の子は必ずすぐに謝る。そしてすぐにまた過ちを犯す。同じ過ちのことだって多々ある。それでも、本人は口先だけでなく、そのつど本気で謝っている。これは親の立場になると、やはり可愛いのである。

 しかし、同じ目線の兄弟では、かつて自分もそうであったように理解できないようだ。そうした時、上の子には、自分に対しては己を厳しく律する正しさを持つことは良いが、周囲に対しては謝罪を受け入れる優しさを持って欲しいと思う。