

私たちが日々、人と接する中で、「正しさ」と「優しさ」がぶつかる場面に出会うことがあります。人が自分と違った主張や考えが正しいと確信していたり、人が自分のやり方と違った方法で何かをしている時など、つい批判や意見を述べたくなってしまうものです。そして、私たちは、自分の考えや、やり方を人に押しつけたくなったりしてしまいます。これは、だれにでもあることではないでしょうか。
アメリカの心理学者ウェイン・ダイアーは、*「正しいか優しいかのどちらかを選べるなら、優しさを選びなさい」と言っています。この言葉は、私たちに大切な気づきを与えてくれているように思います。
例えば、友達が何かを勘違いして話していたとします。その時、それが間違っていると知っていたら、すぐに間違いを指摘するのがいいのでしょうか、それとも、相手の気持ちを尊重し「今はこのまま傾聴しよう」「後で教えてあげよう」と思い、何も言わない方がいいのでしょうか。
場合によっては「正しいこと」を言わない勇気も大切なことで、傾聴することこそ真の優しさの表現である場合もあります。たとえ自分が正しくても、相手を思いやる優しい気持ちがなければ、結果的にその人の心を傷つけてしまう恐れがあります。
常に、正しさだけではなく優しさも選ぶことのできる人でありたいものです。そのためには、「心」に余裕を持たせ、最大限の寛容の気持ちがなければなりません。心に寛容の気持ちがあれば、客観的に自分を観ることが出来、優しい言葉や行動をうまく表現することも可能となります。
優しく傾聴する特別な心が、一層私たち自身を優しく寛容な人にしてくれるに違いありません。
*原文(If you have the choice between being right and being kind, choose being kind)
ウエイン・ダイアー(1440~2015)