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正しさと優しさ

コリーン・ダルトン

今日の心の糧イメージ

 教会は25年ごとに「聖年」を宣言し祝います。和解と希望を祈る特別な年のことです。今年はまさにその聖年にあたるのです!

 聖年の伝統は教会の中で幾世紀にもわたって受け継がれてきました。その起源と言えば、さらにずっと 遡 ることとなります。旧約聖書のレビ記に、神がイスラエルの民に与えた教えの一部として出てきます。聖なるものとなることについて、即ち世俗的なやり方から遠ざかるようにとの教えです。例えば、7年ごとに耕作地を休めなさい、などの戒めがあります。さらに7年の7倍の後、即ち50年目の聖なる「ヨベルの年」には、「全住民に解放の宣言をする」(レビ 25・10)とあります。そのとき、土地は以前失った人々に返還されます。奴隷であった人々は自由の身となります。まさに希望の年なのです!

 聖書に基づくこの聖年がどのようにして実際に祝われてきたのかは定かではありませんが、この修復と解放への呼びかけは、依然として差し迫ったメッセージとして光を放っています。

 前教皇フランシスコはこの差し迫った呼びかけについて、2025年、聖年の宣言でことさらに訴えかけられました。その公式文書では、富める国々にたいして、その過去の決定がいかに今日人々の共同体を貧困化させてきたかを認識し、そうした国々の返済できぬ債務を免除するように訴えられたのです。こうした特赦については、「寛大であるかではなく、正義に関わる問題なのです」*と述べています。

 聖年はまさに過去の過ちを是正し、新たな始まりにつながる機会を創り上げてゆくときでもあります。優しい心と正しい行動が共に手をとりあって、はじめて真の希望を育むための礎を築くのです。


 *教皇フランシスコ
 「希望は欺かない――2025年の通常聖年公布の大勅書」第16番