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居場所

シスター 山本 ふみり

今日の心の糧イメージ

 私は次第に退職の時期を迎えようとしています。

 月日の流れはみな平等に流れていて、「今日が一番若い日で一番歳を取った日だ」と実感できる歳です。ということは天国に行く準備をする歳になったのだと自覚します。仕事を譲り、役割交代をし、私の出来る事を謙虚に精一杯にする。そんな日々を送りながら天国に行く日を楽しみに準備できたらどんなにいいでしょう?人間的弱さを自覚し、お互いにゆるし合い、助け合って生きられるなら、この世でも天国を実感できる気がします。

 パウロの書簡に「私たちの本国は天にあります。」(フィリピ3・20)と教えている箇所があり、グーグルで「天国」を検索すると「人間社会における権力争いや損得勘定から解放された神が支配する国、神の国を意味します。」と出てきます。

 私達は神の国のことを天国と言っているのでしょう。

 今のこの世は悪魔と神様が共存している世界なのでしょうか?この世は天国ではないことは分かります。それは色々な悪の誘惑と力を感じるからです。そして自分もその誘惑に負けてしまう時があるからです。人間は自分が罪びとだと認識して初めて神様の存在を知り、神様に助けを願う謙虚さを知るのかもしれません。自分を正しい人間だと自己主張する時は、まだまだ天国は遠いし悪魔の誘惑の方が近いかもしれません。

 私の方が正しいと思うと相手が悪くなり、敵を作り、溝ができる最悪な状態になるからです。それではゆるしも和解も遠くになってしまいます。

 「ありがとう」「ごめんね」と心から言い合い、ゆるしと和解のある日常生活を送り、生き抜いた後、本当の居場所に行きたいものです。