

私は三人姉妹の次女として生まれた。
真ん中っ子、という立場は実に曖昧なものだ。どっちつかずで、よく自分の居場所が分からず、戸惑いも尽きなかった。時には気まずささえ覚えた。
姉が友だちと遊びに出かけると「あなたはまだ小さいから家にいなさい」と残されるし、妹と同じおもちゃをねだると「もう大きからいらないでしょう」と諭される。勉強をさぼれば優等生の姉と比べられ、イタズラをすれば「妹のお手本にならなくちゃ」と怒られる。洋服も靴もみな姉のお下がりなのに、それらをぼろぼろになるまで使い込めば、今度は妹が新品を買ってもらえる。おつかいの時は決まって「上の二人で行きなさい」、夜テレビを観たい時は「下の二人は早く寝なさい」と尻を叩かれる。
なんだか損ばかりしている気分だった。
時々、ぎゅっと挟まれて身動きのできないサンドイッチの具になったように感じて、真ん中という立場を恨んだりしていたことも。
しかし、ある日ふと気がついた。
今三人はそれぞれ別々の国に住んでいる。それでも昔から少しも変わらず仲がいい。姉との間には二人しか分からない暗号があるし、妹は世界の誰よりも気が合う遊び相手のまま。それに、姉と妹が喧嘩をすれば、真ん中に入ってとりなせるのは私だけ。
自分は薄っぺらいサンドイッチの具なんかじゃなくて、お米と具材を美味しくまとめるおにぎりの海苔のように、三姉妹をつなぐ架け橋なのだ。そして、損どころか、三人の中で一番得しているかもしれない。なぜなら、私だけ姉と妹の両方がいて、私だけその両方になれるのだから。
ものは考えよう。
今では、私は二人の間に生まれて良かったと心底思い、自分の居場所にただ感謝するのみである。