

私は長崎県五島列島の出身で、修道会の修道院も五島にあるのでよく船に乗って五島に行きます。
今は船の種類も増えているので混みあうということは前ほどありませんが、若い頃の帰省時は本当に混んでいました。船内のスペースがどんどん埋まっていくのを見ながら、足が入るスペースを見つけてまずは正座をします。3時間近い船旅です。足がしびれ、そのうちに眠くなります。どうにかして横になるスペースを確保したくなります。恐る恐る足を伸ばしてみると、不思議なことに伸ばすことができます。次に上体を横にしてみるとそれもできます。最初から自分のスペースを取ることはできませんが、徐々になら譲り合って、全員がどうにか横になることができるくらいの自分の居場所を確保できるのは、混んだ船でよく経験する不思議です。
私たちの修道会では事業所を引退したシスターたちが、いろいろな活動でまだまだ活躍しています。厨房、畑、観光や教会巡礼の案内などそれぞれの得意分野で頑張っています。活動できなくなったシスターたちもとても重要な役割をもっておられます。
それは、祈りです。それぞれの修道院にはお祈り係のシスターたちがいて、朝8時から夕方6時までどこかの修道院で誰かが祈ってくれています。これを私たちは祈りのリレーと呼んでいます。シスターたちにはどこにいても祈ることが期待されています。中身はさておき、教会はもちろん、病院や施設のベッドでも祈っています。少なくとも祈りたいと願っています。
社会における私たちの居場所は、どこにあっても祈るその生き方にあると思っています。社会のいろいろな要素がある中で、祈り人として社会のために生きていきたいと思います。