新年を迎え、また一つの人生の扉が開きました。普段とは違う、何か新鮮な気持ちになれます。このような時の区切りとそれらによってつくり出されるストーリーがなければ、私たちの人生はどんなに殺風景になることでしょう。
本を構成するように、私たちの人生というストーリーに「扉」をつけ、そこにタイトルを記すなら、どのような言葉を選ぶでしょうか。どのような人生の節目の時に、「中扉」の頁が挿入され、いくつの編や章に分けられるでしょう。
人生の大きな出来事や節目によって、私たちの生活、生き方は変えられ、それまでの日常が日常でなくなります。
例えば、一年という短いスパンの間だけでも、年末には大掃除をし、新年を気持ちよく迎えようと計画します。また、元旦には「何か始めてみよう」等、新たな抱負を抱くものです。
今、私は新築された修道院に住んでいます。ピカピカの新しい家です。聖堂を中心に、シスターたちと共用する共同スペースや個室、庭も新しくなりました。そして、不思議なことに、環境が新しくなると私たちの気持ちや生活も変化し、新しくなれることを実感しています。さらに、気持ちが変えられると、一人ひとりの行動、共同体の雰囲気が少しずつ変えられていきます。自分の人生や共同体での新たなページ、扉が開いた感じがします。
もし、これまでのストーリーを本にし、「扉」にタイトルと作者名を記すなら、私は、迷わず、神への感謝と賛美を綴りたいと思います。そして、作者は自分ではなく、創造主なる神様としたいと思います。
今、あらためて新年という区切りに立ち、これまでの人生の恵みと導きを味わう時、落ち着きと静かな希望がふつふつと湧いてくるからです。