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分かちあう

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 今から30年近く前のこと、不思議な「分かち合い」の体験をしました。ある研修会で、参加者一人一人に300円ずつお渡しして、お昼ご飯を食べることにしたのです。2、30名ほどの参加者はそれぞれ300円を握りしめて、街中へと出かけていきました。万が一、参加者の食事が足りなかった時のために、内緒で一人2個ずつのおにぎりは用意していました。

 一人、また一人と戻ってきましたが、買ってきた食べ物の内容に驚かされました。当時、おにぎりが一個100円くらいでしたので、おにぎりを3個買ってきた人がいました。ところが、お母さんたちのグループはお金を出し合って、味噌を買い、材料を揃えて具だくさんの味噌汁を作ってくださったのです。また、ある人は、300円を全部使って、参加者のためにと食後のデザートの果物を買ってきてくださいました。

 結果として、とても豊かな食卓となり、内緒で用意していたおにぎりが残ってしまう結果となりました。私は、そこに神さまの静かなはからいを感じました。一人一人が自分のことではなく、皆のことを考えて買い物に出かけた結果、非常に豊かな食事になったからです。

 この季節、プレゼントを交換する人たちが大勢います。相手のことを考えて、プレゼントを選び、そして渡すことによって、心が豊かになる経験をする人たちが多くいることと思います。言い換えれば、一人一人がサンタクロースになって、相手と共に自分自身も心豊かにしていくのです。

 クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝いますが、私たち一人一人が豊かな人生を送ることができるように、まず、神さまが贈り物をしてくださったことを思い起こしながら、この季節を過ごしていきたいと思います。