「分かち合う」ことは、私たちの人生において極めて大切なことだと思います。物の分かち合いは、もちろんのこと、それ以上に人間にとって大切なのは「気持ちの分かち合い」であります。
ドイツに「悲しみを共に分かち合う時、悲しみは半分になり、喜びを分かち合う時、その喜びは2倍になる」という諺があります。悲しみは半分になるかどうかはわかりませんが、悲しい気持ちを分かち合うことで、その人の心は少し軽くなるはずです。また、悲しい気持ちを受ける側は、その場にいて傾聴することで、その人が置かれている状況や感情を一層、理解するとともに、支えることができます。
喜びの分かち合いは、すばらしいことで、お互いが幸せな気持ちに満たされます。小さな喜びでも、家族や大切な人と一緒に分かち合うと、喜びが倍増することは、だれしも体験しています。
次のことは、平々凡々の凡人には、極めて実行困難なことですが、願わくは「人の喜びを妬まず心から喜ぶ一方、人の悲しみも受け止め共感できる人間」でありたいものです。「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」(ローマ12・15)と聖書は教えていますが、(ローマ)これこそ真の「共感」で、尊い心の分かち合いであります。
人間だれでも、悲しみは、なるべく少なく、喜びは、たくさん味わいたいと思っています。いずれにせよ、信頼する人と気持ちを分かち合い、他者の気持ちを聴き、共感することは、私たちにできる、愛に満ちた尊い行動だと思います。分かち合うことは、すばらしいことであり、自分がひとりではないということを確信させてくれます。
これからも他者を大切に、他者と幸せを分かち合う人生を送りたいものであります。