あと一歩、前へと踏み出す勇気が出ない。不安が一杯で思わず引きこもらずにはいられない。恐れに取りつかれて、後ずさりしかできない。先の希望が全く見えてこない。
このような時、私たちは戸惑い、自らの殻の中に縮こまってしまいます。誰かに引き上げてもらわなければ、そのような状況から抜け出せない、そんな時もあるかと思います。誰かの手助けを必要とする時と言ってもよいかもしれません。
聖書によれば、十字架上でイエスさまが亡くなった後、弟子たちはまさに、このような状況でした。扉を閉めて鍵をかけ、今度は自分たちが捕らえられ、十字架にかけられてしまうかもしれない、と恐怖と不安の中で彼らは過ごしていたのです。ただひたすら自分たちの姿を隠して、息をひそめながら生活していたのです。
そんな弟子たちの真っただ中に復活したイエスさまが姿をあらわし、「あなたがたに平和があるように」(ルカ24・36)と告げられたのです。戸惑い、自らの殻に縮こまっていた弟子たちは、とても驚き、喜びにあふれたことだと思います。まさに、イエスさまが弟子たちの背中を押す手助けをされた瞬間だったのです。その結果、弟子たちは扉から外に出て、イエスさまについて人々に教え、自分の命を捧げてでも伝え続ける存在へと変えられていったのです。
私たち一人一人の生活においても、いろんなことがきっかけで、時には、自分の思いもよらない方法で、背中を押されることがあるかと思います。そのような時は、目には見えなくても、イエスさまご自身が、皆さんの手助けをされているのだと思います。
私たちにはイエスさまの力強い手助けがあります。それを心に留めながら、日々、希望をもって歩み続けたいと思います。