私たちは、毎年7人から8人のシスターたちを天国に見送っています。シスターたちのお通夜と葬儀は悲しみに沈むというより、天国への希望と人生を生き抜いたことへの賞賛に満ちているように感じます。
今は天国におられるある司祭から、「あなたたちには聖人になって欲しくない。」と言われたことがあります。何という事!と思いましたがその意図するところは、神以外からの栄誉を求めてほしくないということだったと思います。
シスターが亡くなってからその人となりを周りの人に聞くことが多いのですが、ごく普通の生涯のように見えても、修道会に入るまでに一人ひとりの物語があり、修道会の中での生活も実にユニークであったということに気づかされます。そして、この神からの呼びかけに応え続けて迎えたこの世からの旅立ちは、とても美しいものに見えます。
よく考えて見ると誰にも普通とか平凡などという生き方はありません。生を受けた時から私たちは特別な人生を生きているはずです。幸せに生きて欲しいと願いを込めて名前を付けてもらい、人生を歩み始めます。この人生は、少なくとも神と私自身にとって決して普通の人生ではありません。いつも特別なのです。
このことにシスターたちを見送る度に気づかされ、平凡に見える生き方の中に、独自の物語を持ち、神に対する誠実な生き方を貫いた人の幸せを強く感じます。旅の途中でいろいろあっても、放棄せず歩き通した人に与えられる神からの大きなご褒美を感じるのです。私たちが見送る先には、生涯をかけて求めてきた神ご自身がおられます。ですから、私たちは悲しみよりも喜びを持ってシスターたちをお見送りすることが出来るのです。