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自然への感謝

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 私は長い準備期間を経て、子どもたちに夢をと思い、やっと絵本塾の開塾にこぎつけました。子どもたちが絵本塾にきて、毎回絵本を読み、制作する楽しさがありましたが、絵本とは、その子ども自身の世界で心を育む内的な対話なのではないかとも思いました。

 いざ始めてみると、生きがいにはなるけれど、私自身の実生活が成り立たず、1年半で閉じました。

 無力感に襲われていた時、ふいに、「星の誕生」という作品を思い出しました。

 もう10数年前に行った彫刻家の舟越直木氏の個展でのことです。

 会場にはいくつもの作品が展示してあったのですが、展示できない作品の写真がテーブルにありました。

 それは、新潟の越後妻有(えちごつまり)にある「まつのやま学園」の校庭に、彫刻家舟越直木氏と小学生58人とで土手に制作した「星の誕生」という作品です。

 天地万物を創造された神さまは、これを見て「地球に五つ、星が生まれた!」と、喜んでいらっしゃるかも知れない。

 五つの星には手伝った子どもの名前が彫られていて、その五つの星は子ども達がたくさん触れて、もう傷だらけでした。

 子どもには、太陽、月、星、風、雨、土などにふれる時間が必要です。今は天に召された舟越直木氏の夢の続きを、私も子どもたちと一緒に育みたいと願いました。叶うなら、せめてその段取りをして、次の世代にバトンを渡したい。

 ギリシャの野外劇場のような場所で、夕暮れから、月明かりと松明のもとで、子どもたちが神さまの創造された宇宙万物をたたえ、地球の平和を願い、地球を修理する約束をし、そして兄弟姉妹をたたえるようなそんな劇の上演を夢見ています。